3/24/2013

想い

21.Jan.2013     Tsuchiura.Ibaraki.Japan




ある男の元に匿名で一人のファンから作品が届いた

男の生業は声


作品は男の声を動画作品にしたもの


男はとても喜んだ




後日、男は自分の弟に作品を自慢してみせた


だが、その作品は弟が作ったものだった


弟は恥ずかしくて言えなかった




砂が街の景色をかすめたある日


風は男の生命を持っていってしまった


華やかな世界の仕事に自惚れず、家族の為に生きた男の最期は一人だった


その夜、家族は一人ひとり自分の想いを男に話した


弟はあの日兄に伝えられなかったと泣き続けたという