11/22/2017

木氣展御礼

18.Nov.2017    Woodsculpture

木氣展は無事終了致しました。
多くの方に脚を運んでいただけたことに感謝致します。


今回の展覧会では、感動したというたくさんの声をいただきました。
そのため、終わった時は安堵と嬉しさもありました。
しかし次の日に目覚めると、達成感や満足感というものはありませんでした。
ただ大きな感謝の気持ちだけが残り、何時もの時間に起き、
朝日を眺めたあとに個展の後片付けを淡々と始めました。

“水は方円の器に随う”(みずはほうえんのうつわにしたがう)といいいます。
四角い器に水を入れれば水も四角い形になり、
丸い器に水を入れれば水も丸い形になります。
このことから、人も環境や付き合う人次第で善くも悪くもなるという諺です。

僕は昨年の初夏に作り手として生きていきたいと覚悟を決めたとき、
安定・自立した生活を捨てて退路を断ち、畑の隅にある大きな木の下で始めました。

屋根も床も壁もない、一見厳しいとも思える環境。

しかし、自然の厳しさにもまれ、優しさに包まれることで、
己の傲慢さに気づかされました。

また、一人で何でもやりたい、できると思い込んでいましたが、
現実には何もできず、周りの人に支えられることで己の弱さに気づかされました。
「人間」とは「人」の「間」と書きますね。
自分は人と人との間で生きているのだと。

自然と人という大きな大きな器の中で、

水となった僕は一人の人間、一人の作り手としてもう一度作られた感じがします。
そのために、達成感や満足感がなかったのかも知れません。
あるのは感謝だけです。

ありがとうございました。


さてこれからですが、今回の経験からたくさんの宿題ができました。
組織から離れ、自由になれると考えていた生活に不自由を感じ、
自然という不自由な相手と向き合うことで自由を感じました。
表現は自分を出すことだと思い込んでいましたが、
それも進めるうちに自分が邪魔になっていきました。

自由とは何処にあるのでしょうか?
表現とは何なのでしょうか?

今はうまく言葉にすることはできませんが、
これからも探し続けたいと思います。
そして、また新しい自分となって皆さんにお会いできることを楽しみにしています。